兄弟に関節リウマチ患者がいる女性はリウマチの重症化リスク大
兄弟が関節リウマチ(RA)に罹患している女性は、重度のRAを発症する確率が高いことが新しい研究によって示され、米医学誌「Arthritis & Rheumatism」10月号に掲載された。RAは関節に極度の痛みを伴う自己免疫性の慢性炎症性疾患で、米国で約200万人が罹患している。RAにかかると、免疫システムが異常反応を起こし、体の正常な組織を外部からの異物とみなして攻撃してしまう。
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)医学部教授Lindesy A. Criswell博士らは、兄弟姉妹の2人以上がRAに罹患している467世帯の患者1,004人について調べ、RAに罹患した兄か弟をもつ女性と、もたない女性との疾患の特徴を比較。さらに、全患者について疾患の特徴の男女差について比較した。
女性のRA発症率は男性の3倍で、男性の方が発症年齢が遅いことは既に知られているが、Criswell氏らは、男性患者の方が「びらん性」の徴候を呈することが多いことを突き止めた。男性患者は女性よりもリウマトイド因子および抗CCP抗体(ともにRAの指標)が陽性である比率が高いこともわかった。また、男性RA患者は喫煙歴を持つ比率が高いほか、RAとの関連が知られる遺伝子マーカーHLA-DR4のサブタイプであるHLA-DRB1と呼ばれる遺伝子を有する比率も高い。米国関節炎財団によると、HLA-DR4は白血球にみられる遺伝子マーカーで、これをもつとRAリスクが高いという。
RA患者を兄弟にもつ女性では、兄弟に患者がいない女性に比べ抗CCP抗体レベルが高く、HLA-DRB1遺伝子をもつ比率も高かった。この知見は、医師、患者両方にとって疾患の進行を予測する上で役に立つ情報になるという。
RAに家族性があることは以前からわかっていたが、疾患にかかるかどうかを決める遺伝子は1個ではない。環境因子に加えて、この多数の遺伝子を特定することも研究の課題となっていると、Criswell氏は述べている。現時点で2個の遺伝子が特定されているが、ほかにも関与する遺伝子があることは明らかだという。なお今回の知見を受け、兄弟にRA患者がいる女性は、この点を医師に伝える必要があり、医師も忘れずに患者に尋ねるよう専門家は助言している。