ニコチンがうつ病に効果
ニコチンがうつ症状の改善を助けるという研究結果が発表されたが、研究者らは、このことが喫煙を勧める理由にはならないと釘を刺している。
米デューク大学(ノースカロライナ州)医療センターの研究者らは、非喫煙者でうつ症状がある11人を、ニコチンパッチ群かニコチン非含有パッチを貼付するプラセボ群に割り付けた。被験者はうつ症状の度合いを評価する質問項目に答えた。その結果、8日間以上ニコチンパッチを貼付したグループでは、うつ病評価点数が有意に減少していた。
研究者らは、今回の結果はうつ病患者に喫煙やニコチンパッチを勧めるわけではないと警告、喫煙は米国の死因の第一位であり、ニコチン依存に伴う危険性はうつ病への効果よりはるかに重いという。同大ニコチン・禁煙研究センターのJoseph McClernon氏は「今回の研究が、公衆衛生上大きな問題となっているうつ病の新しい治療法開発の刺激となることを期待している」と述べている。研究は米医学誌「Psychopharmacology」9月11日オンライン版に掲載された。
製薬会社は、ニコチンが持つ依存性を避けながら有益性を発揮する、ニコチン様薬剤の開発にすでに着手している。