リポ蛋白(たんぱく)レベルの高い女性は心疾患リスクが高い
リポ蛋白(たんぱく)(a)という物質の血液中のレベルが高い女性は、心疾患や脳卒中のリスクが高いことが米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(BWH、ボストン)のJacqueline Suk Danik博士らの研究によって示され、米国医師会誌「JAMA」9月20日号に掲載された。
リポ蛋白(a)は、定期的に検査される項目ではないため、あまり知られていない。心血管系リスク予測因子としてのリポ蛋白(a)の有用性については、過去数年の研究で数々の対立する結果が出ている。リポ蛋白(a)の大きさは人によって異なるため測定が難しく、検査法に多くの種類があり標準化されていない点も問題である。
今回の研究では、新しい精度の高い検査法を利用し、「女性の健康調査(Women’s Health Study)」に参加した女性約2万8,000人を対象に評価を行った。参加者は1992〜1995年に血液標本を提供した後、10年間にわたり追跡された。Danik氏らは、全員の保存血液標本を検査し、リポ蛋白(a)レベルと心血管系リスクとの関連を調べた。追跡期間中、脳卒中、心臓発作などの心血管系イベントは899例生じたという。
リポ蛋白(a)が30mg/dl以上だった女性は、10年間に心血管系イベントが生じるリスクがわずかに高く、またリポ蛋白(a)レベルが65ml/dl以上と特に高かった女性では、心臓発作や虚血性脳卒中により外科手術などの治療措置を要するか、死亡するリスクがリポ蛋白(a)レベルの低い女性に比べ67%高かった。リポ蛋白(a)が65ml/dl以上で、かつLDLコレステロールが約120mg/dl(中央値)を超えていた女性では、リスクが80%高いこともわかった。
米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)David Geffen医学部助教授のKarol Watson博士は、予防心臓病学の世界でも医師の多くがリポ蛋白(a)を重要な危険因子であると考えており、今回の知見はさらにこの考えを裏付けると述べている。Watson、Danik両氏共に、強い家族歴のある患者、明らかな危険因子がないのに心血管疾患と診断された患者、危険因子を管理していても心血管系イベント(事象)がみられる患者などは、リポ蛋白(a)の検査を受けるよう勧めている。