歯周病や虫歯、肺炎の原因にも?「ドライマウス」にご用心
唾液(だえき)の分泌量が不足することによってさまざまな不快症状が起こる「ドライマウス」は、歯周病や口臭の原因になるだけでなく、ときには肺炎を起こすことにも。ちょっとした心がけでできる、ドライマウス対策をご紹介します。
■そばに飲み物がないと落ち着かないあなたは、要注意!
いつもそばに飲み物がないとなんとなく落ち着かない、という人は、もしかしたら「ドライマウス」かもしれません! ドライマウスとは、唾液の分泌量が減って口の中が乾燥し、食べ物が飲み込みづらくなったり、口の中がネバネバする、口臭がきつくなる、入れ歯の調子が悪くなるなどの不快症状が起こる病気。正式には「口腔乾燥症」といいます。欧米の疫学調査では、ドライマウスの患者数は人口の25%にのぼる、という報告も。ドライマウスになると、唾液の分泌不足によって、唾液が本来果たしている抗菌作用が働かず、虫歯や歯周病、口角炎などにかかりやすくなります。また、口内で増えた細菌が気管にまぎれこんで肺に到達し、肺炎を起こすことも。「たかが口のかわき」と見過ごしていると、命にかかわることがあるので注意したいですね。
■加齢やストレス、糖尿病もドライマウスの原因に
ドライマウスには、以下のような原因が考えられます。
●ストレス
長期にわたってストレス状態が続くと、自律神経がバランスを崩して唾液の分泌が抑制されます。
●薬の副作用
降圧薬、利尿薬、抗アレルギー薬、鎮痛薬などの副作用として、口のかわきが起こることも。薬の種類や量を変えるなど、医師に相談する必要があります。
●加齢による「かむ」力の衰え
年齢とともに口やあごの筋力が衰え、唾液の分泌量が低下します。柔らかく、かみごたえのない食品ばかり食べることも唾液分泌低下を加速させます。
●口呼吸
鼻炎などの鼻の病気などで、口で呼吸をするクセがついてしまっていると、口の中がかわきやすくなります。
●病気
糖尿病、腎臓病、シェーグレン症候群(涙や唾液が出にくくなる自己免疫疾患)も、口のかわきを引きおこします。
■唾液分泌を促すマッサージで口のうるおいアップ!
ドライマウス対策として、手軽にできるのが「唾液分泌マッサージ」。唾液腺のある部分を刺激することで、唾液の分泌を促します。かみごたえのある食品や、見た目の「酸っぱい刺激」で唾液をしっかり出すことも有効。そして、歯磨きやうがいをひんぱんにして、口の中を常に清潔にすることが大事です。虫歯や歯周病、肺炎などの引き金になる口内細菌の繁殖を防ぐこともできます。
それでも気になるという人は、人工唾液や保湿ジェルなど、口内のかわきを和らげる治療法もあるので、気軽に歯科医に相談してみましょう。
●唾液分泌マッサージ
唾液が出てくる「唾液腺」を刺激するよう、マッサージ。耳たぶの下の、ほお骨の出っ張りの内側をやさしくマッサージします。じわっと唾液が出てきたらオーケーです。
●唾液を出すような食品をとる
ガムをかんだり、おしゃぶり昆布などを舌の上で転がして、唾液分泌を促しましょう。レモンや梅干しは、ただ「見るだけ」でも唾液分泌効果が。机のそばなどに置いておくのもおすすめです。