いびきはパートナーとの生活破綻の原因にも
多くの人はいびきを深刻視していないようだが、実際には真剣に考えるべき問題だ。他の人を目覚めさせるほどのいびきならば、本人自身の健康だけでなく、パートナーなどとの人間関係にも深刻な影響を与える。
米国立睡眠財団(NSF)によると、米国人の3人に1人は時折、3,700万人が慢性的にいびきをかいているという。別の専門家は、30-60歳男性の40%、同年代層の女性の30%がいびきをかくと指摘している。
また、いびきは、睡眠時に呼吸が数秒間止まる閉塞性睡眠時無呼吸の兆候とも考えられる。睡眠時無呼吸は血圧を上昇させ、脳卒中の原因にもなるが、米Hackensack 大学(ニュージャージー州)医療センター睡眠覚醒障害研究所のSusan Zafarlotfi氏は、一般の人が睡眠時無呼吸を判別するのは難しく、習慣的ないびきのある人は医師に相談するよう助言する。
多くの人にとって、いびきそのものは健康上の大きな問題とはならないが、頭痛や疲労感、昼間の集中力不足につながる場合もあり、またパートナーにとっては、環境性不眠という睡眠不足の原因ともなる。Zafarlotfi氏によると、パートナーに促されて来院する人が多いという。
いびきの一般的な原因として、肥満による気道狭窄、アレルギーや風邪による鼻詰まり、アルコールや鎮静薬による気道の緩み、鼻中隔わん曲などの解剖学的欠陥などが挙げられる。
治療法は原因によって異なるが、アデノイド肥大や鼻中隔わん曲が原因ならば、手術が必要な場合もある。しかし、ほとんどの医師は、まず減量、運動、就寝前にアルコールや鎮静薬の使用を避けるなど、生活習慣の改善を勧める。
鼻詰まりが原因なら、鼻のうっ血除去薬や抗ヒスタミン薬が効果的だが、抗ヒスタミン薬には鎮静効果があるため注意が必要。鼻腔拡張テープが有効な人もいる。
睡眠時無呼吸がいびきの原因の場合は、特殊な鼻マスクで気道開存に十分な圧力の空気を気道に送るCPAP(持続的気道陽圧法)が標準療法となる。その他の治療法は、いびきは止めるものの、睡眠時無呼吸そのものは依然として残ることから、通常は勧められていない。