小児にも脂肪性肝疾患の多いことが判明
米国の小児の650万人もが、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に罹患している可能性が示された。NAFLDは肝細胞に脂肪が蓄積する疾患で、肝硬変、移植を要するような末期肝疾患および肝癌(がん)に至ることもある。これまで、小児のNAFLD有病率に関する研究はほとんど存在しなかった。
米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の研究グループは、1993〜2003年にサンディエゴ郡で外傷事故、殺害、自殺により死亡した2〜19歳の小児、742例の剖検所見および組織標本を分析。この結果、対象者の13%にNAFLDが認められた。これに基づいて推定すると、サンディエゴ郡の小児の9.6%がNAFLDに罹患していると考えられるという。研究を率いた同大学小児科助教授Jeffrey Schwimmer氏によると、国全体での有病率が同程度だとすると、米国の小児の650万人に相当するという。
Schwimmer氏らが割り出した、小児のNAFLDの主な危険因子は以下のとおり:
・年齢―2〜4歳では0.7%だが、15〜19歳では17.3%に脂肪肝が認められた。
・民族―ヒスパニック系で脂肪肝有病率が最も高く(11.8%)、次いでアジア系(10.2%)、白人(8.6%)、黒人(1.5%)の順であった。
・性別―男児の脂肪肝有病率が、女児に比べ大幅に高かった。
・肥満―脂肪肝の小児の81%が、過体重または肥満であった。