高蛋白(たんぱく)食が空腹感を遠ざける
蛋白(たんぱく)質を多く摂取すると、ペプチドYY(PYY)と呼ばれる飢餓抑制ホルモンのレベルが増大することが明らかにされ、医学誌「Cell Metabolism」9月号に掲載された。過去の研究では、PYYをヒトに注射することで食物摂取量が3分の1に減少したことが示されている。英ロンドン大学(UCL)のRachel Batterham氏らによる今回の研究では、肥満および標準体重の集団で、摂取する蛋白質を増やしたところ、高脂肪食ないし高炭水化物食のどちらの場合よりも多くPYY産生が促され、空腹感も大幅に抑えられた。
さらにマウスを用いた研究では、高蛋白食を与えたマウスはPYYレベルが増え、摂取するカロリーが減少したほか、通常食のマウスに比べ体重増加も抑えられた。また、PYYを産生しないよう遺伝子操作したマウスは、食物摂取量が増え、極度の肥満になることもわかった。この遺伝子操作マウスにPYYを投与すると体重減少がみられたという。
「この結果から、PYYの欠乏が肥満の原因となること、高蛋白食の有益な効果はPYYによってもたらされていることがわかる」とBatterham氏は述べている。この知見を利用して、食事に蛋白質を追加することにより満足度を上げ、体重の減少を促すというダイエット法も考えられるが、その前にさらに研究を重ねる必要があるという。飽和脂肪と蛋白質の両方の比率が高い「アトキン式ダイエット」とは異なるという点も、Batterham氏は強調している。