研修医の3分の1が医療ミス
米国の研修医の約3分の1が、少なくとも1回は大きな医療ミス(過誤)を犯したと報告していることが、米メイヨークリニック医学部助教授Tait Shanafelt博士らの研究によって判明した。医療ミスは個人的な苦悩の原因になることが多く、そのためさらにミスの確率が上がるという悪循環があるという。この研究は米国医師会誌「JAMA」9月6日号に掲載された。
1999年、米国で年間10万人以上の患者が防ぐことのできた医療ミスにより死亡しているとの報告が発表されたが、ミスを犯したことで罪悪感や恥辱感に悩む医師は「第二の被害者」であるといわれている。今回の研究では、メイヨークリニックの研修医184人を研修開始から3年間追跡し、自覚されたミスの頻度を調べ、さらに生活の質(QOL)、極度の疲労(燃え尽き感)、うつ症状および感情移入などの情報とのクロスリファレンス(相互参照)を行った。
この結果、研修医の20%が1回、6%が2回、8%が3回、計34%が調査期間中にミスをしたとしており、四半期ごとでは平均14.7%が過去3カ月以内にミスをしたと報告した。このようなミスは、その後のQOL低下や、うつ症状の原因となることもわかった。また、極度の疲労を強く感じている研修医は、後の3カ月でミスを犯す確率が大幅に高かった。Shanafelt博士によると、医療ミスは個人的な因子と職業的な因子が絡んだ複雑な問題で、現在、解決索を探る研究を開始しようとしているところだという。
同誌に掲載された別の研究では、研修医の80%以上が定められた時間を超えて勤務していることや、研修医では長時間勤務のために針刺しや切り傷などの負傷のリスクが高いことも報告されている。