緑茶は長寿をもたらす
健康で長生きするには、1杯の緑茶が効くかもしれない。緑茶を多く飲む人では心疾患死や、さらに癌(がん)以外での死亡リスクが低いという日本での大規模研究結果が、米国医師会誌「JAMA」9月13日号に掲載された。
この研究は、東北大学大学院医学系研究科助教授の栗山進一氏らが行なったもので、東北地方に住む心疾患、脳卒中、癌の病歴がない40〜79歳の健康な成人4万350人について、全死因による死亡を11年間、死因別の死亡を7年間追跡した。11年間で約4,000人が死亡し、死因別の7年間では、892人が心疾患で、1,134人が癌で死亡した。
緑茶摂取量で比較したところ、1日5杯以上緑茶を飲む群では1日1杯未満群より、全死因による死亡リスクが16%低く、心疾患での死亡リスクは26%低かった。この効果は女性でより顕著で、5杯以上群では1杯未満群に比べ、心疾患や脳卒中での死亡リスクが31%低かった。なお、癌リスクへの効果はみられず、紅茶やウーロン茶では効果はほとんどみられなかった。
緑茶の効用はポリフェノール、特にエピガロカテキン・ガーレイトという成分にあると考えられている。これは強力な抗酸化作用をもつ物質で、心疾患を防ぐ働きがあるという。緑茶の疾患予防効果は、これまで動物研究では示されていたが、ヒトでの研究は少なく、結果も一致していなかった。
米国食品医薬品局(FDA)も緑茶の効用に懐疑的で、癌や心疾患への効果は支持するだけの根拠に欠くと報告している。栗山氏によると、今回の結果は、ヒトでの緑茶の効用を示す強い証拠となるという。ただしこれは単に観察データにすぎず、ランダム(無作為)化研究が必要という専門家の指摘もある。
栗山氏自身は、1日2、3杯の緑茶を飲んでおり、少なくとも1日1杯の緑茶を飲むことを勧めるという。ただし食道癌のリスク増に関連するので、高温では飲まないようにとのこと。