ビタミンD が膵癌(がん)リスクを減少
ビタミンD の摂取で膵癌(がん)リスクが半減するという知見が、米医学誌「Cancer Epidemiology Biomarkers & Prevention」9月号で報告された。膵癌は米国での癌死因の第4位で、発見が遅れることが多いため生存率は非常に低い。効果的な治療法はまだなく、喫煙以外に関連する環境的、食事的要因は知られていない。
今回の研究は、米ダナファーバーDana-Farber癌研究所(ボストン)の Charles S. Fuchs博士らが、全米規模の2つの調査データを解析したもの。2調査にはそれぞれ、38〜65歳の看護婦約7万5,000人、40〜75歳の男性医療従事者約4万7,000人が参加。1980年代半ばから2000年まで食物摂取やビタミン剤の利用、喫煙、糖尿病、癌の病歴が追跡された。ビタミンDの供給源である日光への曝露は調べられていない。期間中、女性178人、男性187人が膵癌と診断された。
解析の結果、1日150IU(国際単位)のビタミンD摂取群に比べ、150〜299IU摂取群では膵癌リスクが22%低く、300〜499IU摂取群では43%低かった。ビタミンDの1日当たりの推奨摂取量(RDA)は400IUであるが、400IU以上摂取してもリスクがさらに低下することはなく、肥満指数(BMI)や喫煙、住む地方による日照量の違いの影響もみられなかった。
Fuchs博士らは、この研究ではビタミンD摂取が膵癌リスク減少の直接の要因かどうかは不明である点を強調。ビタミンD摂取が単に他の未確認の予防的要因と連動しているだけかもしれず、いきなりサプリメント(栄養補助食品)の摂取に走るべきではなく、過剰摂取にも注意が必要と述べている。食品では、スキムミルク(脱脂粉乳)や魚類にビタミンDが豊富に含まれている。
他の専門家も、現代人は日光への曝露が少なく食物からの供給では不十分なのでサプリに頼ることを認めているが、例えばマルチビタミン剤を2倍服用すると、ビタミンD以外の成分も2倍摂取することになるので、過剰摂取には十分注意するよう警告している。