人はなぜ老いるのか?
―ところで、老化の原因は解明されているのでしょうか。
「人はなぜ老いるのか」という問いに対し、現在の医学界ではいくつかの仮説が存在しています。
1つ目は「身体がさびる」説。活性酸素などのフリーラジカルにより、金属がさびていくのと同じように、人間の身体にもさびが生じ、それが老化を起こすという考え方です。
2つ目は「たんぱく質の変性」説。体内のたんぱく質は、普通、一定の構造で秩序正しく並んでいるのですが、なんらかの理由でその構造が変化し、たんぱく質が変性することにより老化が起こるというものです。
3つ目は「老廃物がたまる」説。私たちの身体は必要なものをとり入れ、不要なものは排出していますが、排出しきれなくなった老廃物が年月を経て蓄積されるために、身体に支障をきたすという説です。
4つ目は「免疫力の低下」説。免疫力が低下すると、さまざまな病気になりやすくなり、その病気が寿命を縮めるという考え方です。
5つ目は「細胞分裂の回数が決められている」説。私たちの身体は細胞分裂をくり返して成長、または機能を維持していますが、この細胞分裂の回数には限りがあるため、各臓器を構成する細胞の数が減り、老化が起こるという考え方です。
6つ目は「遺伝子修復エラー」説。生物の身体では絶えず細胞分裂が行なわれていますが、そのさい、細胞内の遺伝子は複製され、分裂したそれぞれの細胞にまったく同じ遺伝子が存在するしくみになっています。しかし、細胞分裂をくり返すうちに、遺伝子の修復にエラーが起こり、遺伝子が変質して老化につながるというものです。
7つ目は「ホルモン低下」説。成長ホルモンや性ホルモンなど、多くのホルモンは加齢に従い分泌が低下します。そのせいで、身体全体に老化という変化が起こるという説です。