若年肥満者に憩室炎リスク
これまで50歳以上の疾患とされていた結腸疾患の急性憩室炎が、今では若年肥満者にも見られることが、米メリーランド大学医療センターの研究で明らかになった。
急性憩室炎には共通して低繊維食が関与している。これが原因で結腸への圧迫が増し、腸壁に薄肉の嚢状突起(憩室)が発生する憩室症を発症する。その憩室が感染すると憩室炎が引き起こされ、さらに、腸壁穿孔(せんこう)やその他重篤な合併症を併発する。
米医学誌「American Journal of Roentgenology」9月号掲載の同研究では、患者104人を対象に50歳以下と51歳以上の2群に分けて検討。その結果、腹部肥満は若年層でより深刻で、高齢層の77%に対し85.7%であることが明らかになった。同センター放射線部研究者のBarry Daly博士は、肥満患者は20歳を境にリスクが生じるという。
同博士は「急性憩室炎の患者には必ず結腸の憩室症があることから、若年患者では、その後長期間にわたり、炎症の再発リスクが高くなる。医師は、若年層で、特に肥満患者が急性の腹痛で救急搬送された場合は、急性憩室炎を診断の対象に加えることが重要」と述べている。