このほくろ・シミって、もしかして悪性?
気がつくとシミができていた、なんて経験はよくありますね。夏は特に紫外線の量が多くメラニンが活発につくられるため、ほくろやシミが増えることが多いのです。
ほくろやシミが大きくなったりかたちが変わったりすると、皮膚がんではないかと心配になりますよね。まぎらわしいほくろやシミを正確に診断することのできる、検査機器を用いた検査法が注目されています。
専門医に診てもらうのはどんなタイミング?
紫外線を浴びると、皮膚は身体を紫外線から守るため、メラニンという黒い色素が作られます。この時点で皮膚は傷ついているわけですが、紫外線を浴び続けると皮膚はますます傷つき、皮膚がんにつながることもあります。
気をつけたいのは、一見するとほくろやシミに見えるものでも、なかには悪性のものや前がん状態のものもあるということです。
これは専門医でなければ見分けが難しく、放置してしかねません。ほくろやシミに次のような変化が現れたら、皮膚科専門医に相談した方が良いでしょう。
・少しずつ大きくなってきた
・形がくずれてきた
・表面がざらざらしてきた
・出血がある
・色がまだらになってきた
ほくろやシミが悪性かどうか正確に判断できるように
ほくろやシミと間違われやすい皮膚がんは、悪性黒色腫(メラノーマ)や基底細胞がんです。
メラノーマは、皮膚がんのなかでもっとも悪性度の高い病気です。早期の場合は比較的平坦で、足の裏や手にできることが多いものです。
基底細胞がんは、皮膚がんのなかでもっともよくみられ、顔や頭に多く、ほくろのように盛り上がっていることがふつうです。
これまで皮膚がんは、皮膚科専門医が肉眼で見て、その特徴から悪性かどうかを判断していました。しかし、早期の病変などは、肉眼で見ただけでは判断が難しい場合も少なくありません。その場合、病変の一部を切り取って調べる組織診という検査方法が行われます。
最近、皮膚がんの治療で注目されているのが、「ダーモスコピー」です。この機器を使えば、まぎらわしいほくろやシミが悪性かどうか、より正確に区別できるようになりました。
ダーモスコピーを使うことにより、悪性の病変の早期発見が可能になるとも、組織診をしないでも診断がつくケースが増えることも期待されています。
色素の量や深さまでわかるダーモスコピー
ダーモスコピーは、病変を10〜30倍に拡大する拡大鏡の一種で、ゼリーや偏光フィルターを用いることで皮膚表面の乱反射を取り除くことができます。そうすることで、肉眼では見えなかった皮膚の内部構造がかなりわかるようになります。
たとえば、ほくろやシミの場合、指紋のくぼんだ部分に強い色素沈着がありますが、悪性の場合だと指紋のでっぱったところに強い色素沈着がみられます。
また、ダーモスコピーはほくろやシミの色調やパターンが詳しく観察できるため、色素の量や深さまで推察することができます。悪性かどうかを判断するための材料がより多く得られるのです。
ただし、ダーモスコピーを使いこなすのは難しく、まだどこでも検査をおこなっているわけではありません。ダーモスコピーの検査を受けたいときは、皮膚がんなどを多く扱っている皮膚科で、ダーモスコピーでの検査を行っているかどうか、あらかじめ確認すると良いでしょう。
美容のためだけでなく、皮膚の健康も考えて、男性も子供も日ごろからしっかり紫外線対策をとり、気になるほくろ・シミを増やさないようにしたいものですね。(紫外線対策については、夏の健康まめちしき「夏のスキンケア 紫外線・シミ・シワ対策」も参考にしてください)。