葉野菜などに含まれる硝酸塩が降圧効果もたらす
高血圧予防に米国政府が推奨しているDASH(ダッシュ)食事法がもたらす効果の機序の一端を明らかにしたスウェーデンの小規模研究が、米医学誌「New England Journal of Medicine」12月28日号に掲載された。DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)では、野菜や果物の多量摂取を勧めている。
スウェーデンの研究では、ホウレンソウやレタスの含まれる硝酸塩(ナトリウム)が、体内で血管弛緩作用を有する一酸化窒素(NO)を産生することを示しており、このことは心血管疾患に有効な野菜の効果が、野菜に含まれる硝酸塩によるものであることを示唆するものである。
カロリンスカ研究所(ストックホルム)麻酔・集中治療教授のEddie Weitzberg博士らは、若年成人17人に硝酸塩サプリメント(栄養補助食品)とプラセボを交互に摂取してもらった結果、硝酸塩摂取後、収縮期血圧は降下しなかったが、拡張期血圧は3.7ポイント低下した。
同博士は、今回の研究は、血管弛緩作用をもつNOの体内生成の新しい経路を示すものであり、摂取された硝酸塩は口腔細菌や共生細菌によって亜硝酸塩に分解され、さらにNOに分解されると説明している。
しかし同博士は、長期間摂取による効果を検討していないために、硝酸塩サプリメント摂取を勧めるには時期尚早だとし、「今回の小規模研究から確固たる結論を引き出すには慎重を要する」としている。また、硝酸塩は、まれな血液疾患であるメトヘモグロビン血症や癌(がん)のリスクを上昇させると考えられており、「飲料水や食品から排除・軽減すべき物質」と言われているとも述べている。
米クリーブランド・クリニック(オハイオ州)循環器内科のSteven Nissen博士は、今回の研究は葉野菜に含まれる硝酸塩の効果を示しているが、これら野菜の硝酸塩含有量は少ないという。「研究で使用した量の硝酸塩を摂取するには、約0.5ポンド(約250グラム)のホウレンソウを食べなければならない。現実問題として困難なこと」と疑問を投げかけている。