秋の抜け毛対策まず毛周期を知って
生まれたときから体の成長が止まるまでは髪の毛も成長し続け、成長が止まったり、脱毛したりすることはありません。成長しきったときの日本人の髪の毛の太さは約0.08ミリ。
髪の毛の成長も、体の成長と同じ。体の成長が止まり、維持する期間に入ると髪の毛も成長を止め、移行期、休止期に入ります。そして休止期の終わりに自然に抜け落ちます。これが自然脱毛です。その後2〜3カ月くらいの準備期間を経て、新しい毛が生えてきます。これを毛周期(ヘアサイクル)といい、通常は、この周期をくり返します。つまり、成人してからの毛髪は、休むことなく連続的に成長を続け、ある時期がくると成長が止まり、やがて抜け落ち、そしてまた新しい毛が生え始める……ということをくり返しているのです。
1本の毛が生えてから抜け落ちるまで、男性の場合には2〜5年、女性の場合には4〜7年、といわれています。しかし、まれには15年も20年も伸び続ける人もいます。したがって、ある時期、なんらかの原因により大量に脱毛したとしても、通常ならば2〜3カ月後には新しい髪の毛が生え始めますから、あまり心配することはないのです。
髪は皮膚の表面から3〜5ミリの深さにある毛母細胞が細胞分裂をすることによってつくられています。個人差がありますが、平均4年は細胞分裂が続く成長期です。その後、成長期が停止し、毛根の角化が始まる移行期に入ります。移行期は約2週間。そして寿命がきて抜ける準備をする休止期に入ります。
休止期に入ると、毛根は完全に角化し、次の毛と入れかわる準備のために次第に表面に押し上げられます。そして休止期に入ってから3〜6カ月で自然に抜け落ちてしまいます。
脱毛のとき、毛乳頭の組織が毛包に残り、これが新しい毛芽に包み込まれ、2〜3カ月かかって、新しい毛が皮膚から出てきます。
このサイクルが毛周期。
一生の間に何回も毛周期によって抜けたり生えたりをくり返しますが、くり返すたびに毛は細くなっていきます。したがって毛周期が速ければ速い分、毛は次第に細くなり、毛髪全体では薄くなっていきます。
日本人の成長が止まった段階のもっとも太い毛のときの0.08ミリ、白人では0.06ミリ。これがふつう20年間で0.01ミリ細くなり、40歳では0.07ミリ、60歳では0.06ミリになります。
自然に脱毛する量は1日に約50〜100本。これは、頭髪全体量と寿命から換算し、さらに休止期にある毛が全体の10〜15%、1万本から1万5千本、これが6カ月かかって抜け落ちることを前提に計算すると48〜85本になることから推したものです。これがなんらかの状態によって脱毛が促進され、3カ月で抜け落ちることになると1日110本から170本抜け落ちることになります。
1日に抜け落ちる毛髪の量は、かなり個人差があります。成長期の毛は深くしっかり固定されているので、50〜80グラム以上の強い力で引っ張らないと抜けません。引っ張ることによって抜けたようにみえても、毛球を残してちぎれたもので、抜けたわけではありません。したがって、その切れ目は先が細く曲がったり丸まったりした形をしており、これを抜去毛といいます。
洗髪や整髪、就寝時に枕に押しつけるなどの外力が加わることによって抜ける毛は、休止期末の毛で、わずか数グラム以下の力によっても抜けてしまいます。
休止期に入った頭髪が抜け落ちるまでの間に、体調が悪かったり、栄養不良、熟年などが加わるとその速度を早めます。秋になると抜け毛が多くなることは確かで、その理由には諸説あり、定かではありません。しかし、夏に紫外線を頭皮に受けたり、汗をかいた後の手入れを怠ったりすることが一因ではないか、と考えられます。
また、動物が秋に毛が生え変わるのと同様に、ヒトもまた抜け毛が増えるのは自然な現象だという説もありますが、これについてははっきりとした根拠があるわけではないようです。
また、男性のほうが女性より脱毛量が多いよう。シャンプーやリンス、育毛剤、パーマ、ヘアカラーなどで、合わないものを使用すれば、頭皮や毛根が刺激され抜け毛も多くなります。
抜け毛の秋……といわれるように、確かに秋は抜け毛が増える時期。夏の直射日光や生活の乱れなど、思い当たる原因のある人の場合には、生活を正し、体調を整え、髪のためによいバランスのとれた食事をし、頭皮をケアしてやることが大事。ただし、ごっそり抜けたと思っても、正常ならば、2〜3カ月後には生えてきます。もし、元に戻らなかったり、異常に抜け毛の多い状態が長く続くようなら、皮膚科の診察を受けてみましょう。