“音の癒し”で元気になろう
まず、好みの音楽を聴いてみる
最近、医療の分野で注目されているのが、ミュージックセラピー(音楽療法)。これは、さまざまな音楽を聴いてリラックス効果を得たり、集中力をアップするというもので、アメリカでは音楽を使った心理カウンセラーやミュージックセラピスト(音楽療法士)という職業も成り立っているほどです。
音楽が心とからだに与える影響はいろいろ。アルファ波を誘い脳をリラックスさせる音楽や、潜在意識に働きかけるサブリミナル効果を持った音楽、さらによく眠れる音楽など、多種多様なリラックス効果が期待できます。
ミュージックセラピーは、自分の部屋で試してみられるお手軽さがいいですね。一日の終わりにたまった疲れを癒すために、あなたも取り入れてみませんか。
ミュージックセラピーの第一歩は、自分の好きな音楽を聴くこと。ただし、ストレス解消効果を求めるなら、なるべく激しい曲は避けましょう。気分がおちこんでいるときに賑やかな曲を聴くのも逆効果になります。
適しているのは、ゆるやかなテンポの曲。そして少し気分が明るくなってきたら、徐々に感情が高揚していく音楽や、フィナーレでは小川の流れや小鳥の鳴き声など、自然の音を取り入れた曲を聴いていくのが理想です。
音楽を聴いていて、「飽きたな」と思ったらそこでやめること。無理して聴き続けていると、それもまた、ストレスを蓄積する原因になります。
おすすめはクラシック
ミュージックセラピーで効果が上がりやすいジャンルはクラシック。駒沢女子大学の富田たかし教授(認知心理学)は、その人の心の状態によって、適したクラシックの作曲家をあげています。自分はどのタイプにあてはまるか見てみましょう。
ケースその1
「人づき合いに疲れ、疑り深い性格になってしまった。もっと素直な心を取り戻したい」
→モーツァルト:“永遠の少年”モーツァルトの音楽は、心に素直さを呼び戻してくれます。
ケースその2
「難題をのりこえて、夢を実現したい」
→ショパン:かなわぬ夢を追い続ける情熱的な音楽が前進する勇気を与えてくれます。
ケースその3
「神経過敏で他人を傷つけがち」
→バッハ:調和のとれた音楽が現実を肯定する力を養って、気持ちを丸くしてくれます。
ケースその4
「試練に打ち勝ちたい」
→ベートーベン:驚異的な集中力と粘り強さが心を奮いたたせます。
ケースその5
「落ち込んでしまい、人と会う気もしない」
→チャイコフスキー:悲しみの底から再生へと導いてくれる音楽。アイデアにつまったときなどにも適しています。
リラックス効果の高い「純正律音楽」
「純正律音楽」とは、濁りがなくなめらかな旋律を持つ音楽のこと。ウィーン少年合唱団の歌声やグレゴリオ唱歌、声明(しょうみょう)、お経などがこれにあたります。
「純正律音楽」にはピアノのように決まった音階はなく、お互いの出す声(音)を聴いて、それに音程を合わせて歩み寄りながら、美しいハーモニーをつくり出します。
この濁りのないハーモニーが、高い癒しの効果を持つのです。
癌研究会癌研究所の福田六花医師は、脳波の測定により、「純正律音楽」に質の高いリラクゼーション効果があることをつきとめ、アルツハイマー病患者の治療に役立てています。また、純正律音楽研究会の行ったアンケートによると、純正律音楽を聴いた人では7割が「効果がある」と答えているそうです。
純正律音楽の要素を持つ音楽は、少年合唱団などの他に、海外ではエンヤ、カーペンターズ、アディエマスなど。日本ではゴスペラーズもあてはまります。あなたもリラックスしたい1日に、聴いてみてはいかがですか?