長時間労働が高血圧の原因に
長時間の労働が高血圧のリスクを増大させる可能性があることが、医学誌「Hypertension」9月号に掲載された。米カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)労働環境衛生センター長Dean Baker博士らは、2001年にカリフォルニア州の約5万5,000世帯を対象に実施された調査の大規模なデータを利用し、労働時間に焦点を当てた今回の研究を行なった。
Baker博士によると、例えば、週11〜19時間労働する人に比べ、週40時間働く人では高血圧の発症率が14%高く、週41〜50時間働く人では17%高かった。他のさまざまな高血圧の原因を考慮しても、労働時間の長さと高血圧との間には有意な関係がみられたという。また、時間とは無関係に、職種も重要な意味をもつことがわかった。専門職に比べ、事務職では高血圧の発症率が23%高く、単純労働では50%高かったという。
高血圧は、心臓発作や脳卒中などさまざまな致死的疾患をもたらす。労働時間を管理する立場にある人は、長時間労働を求めることによる健康への影響を理解し、考慮する必要があるとBaker博士は述べ、高血圧の危険因子リストに、肥満、喫煙、運動不足、糖尿病などのほかに長時間労働を追加する必要性を指摘している。
しかし、米国心臓協会(AHA)のDavid Meyerson博士は、労働時間を法律で制限するまでにはさらに多くの情報が必要だと述べている。米国人がヨーロッパやアジア人に比べ長時間働く傾向にあることが問題となってきているが、Meyerson博士は、仕事に対する満足度による影響が鍵ではないかと考えている。「高血圧を管理するためには、十分な運動、適切な食事を心がけ、自分の血圧を把握するのと同時に、できる限り満足の得られる仕事を見つけ、仕事よりも大切な人と一緒にすごす時間をもつように」とMeyerson博士は助言している。