太りすぎがアルツハイマー病のリスクを高める
40歳代で過体重や肥満の人は、後年、アルツハイマーの発症リスクが極めて高いことが、先ごろサンディエゴで開催された米国神経学会(AAN)年次集会で報告された。中年期での健全な体重維持が、高齢期の健康に密接な影響をもたらすことが示唆される。
南カルフォルニア・カイザーパーマネント社研究者のRachel A. Whitmer氏らの研究グループが、同社の患者約9,000人を対象に1964年から30年以上にわたり追跡調査している大規模研究の一つで、今回の研究では、患者の肩下および上腕裏の皮膚のひだの厚さを測定し、評価した。
その結果、肩下の皮膚のひだの厚さの測定値が最高値のグループは、最低値のグループに比較してアルツハイマー病の発症率が3倍高く、上腕裏の皮膚のひだの厚さでは、最高値のグループで2.5倍高いことが明らかになった。
米アルツハイマー病協会の医療・科学関連部長のMaria Carrillo氏は、過体重の人は身体的に健康とはいえず、動脈が閉塞して血液の流れが遮断されやすいという。また、正しい食生活をしていないことが推察され、「今回の研究は、健康的な食生活が脳の健康に影響を与えることを示している」と述べている。
同氏はまた、現在、米国では450万人がアルツハイマー病を発症しており、流行病と言ってよいという。高齢化と長寿化が進み、2050年までに発症者は1,600万人まで増加すると予測される。
Whitmer氏は、肥満とアルツハイマー病を結びつける可能性のある分子機序を検討するため、今後さらなる研究が必要と述べている