運動が男性の心疾患死亡リスクを軽減
コレステロール値に関係なく、適度な運動をしている男性では、心疾患による死亡リスクが50%軽減するとの研究報告が、医学誌「Circulation」オンライン版8月20日号に掲載された。
カナダのクイーンズ大学(オンタリオ州)保健体育教育学部準教授のPeter T. Katzmarzyk氏によると、研究は「コレステロールに関する指導プログラム(ATP)」のガイドラインの変更項目を評価することを主目的としていた。
同氏らは、1979〜1995年の間に予防医学クリニックを受診した20〜79歳の男性1万9,000例以上のデータを用いて、新しい基準に基づいて評価した。その結果、58%が目標とするLDLコレステロール値以下、18%が「ライフスタイルの変更が必要」、24%が「投薬の必要性あり」であった。
さらに、高コレステロール群の3分の1で、内臓脂肪性の肥満、中性脂肪(トリグリセリド)高値、HDLコレステロール低値、高血圧、高血糖など心血管疾患の危険因子を複数呈するメタボリックシンドロームの徴候が認められた。
Katzmarzyk氏は、20〜79歳の米国人のうち約25%が積極的な脂質低下療法を受ける必要があり、「新ガイドラインに従えば、多くの生命が救われることは間違いない」と述べている。
今回の研究で特筆されるのは、コレステロール値に関係なく、積極的に運動する男性は心血管疾患による死亡リスクが50%軽減することが明らかになった点。米Cooper研究所(ダラス)医学部長のTimothy S. Church博士は、運動が心血管疾患の死亡リスクを軽減させる理由として、メタボリックシンドロームを引き起こす危険因子はすべて運動量に影響を受けやすい点を指摘している。
このことからChurch博士は、これら症候群を「メタボリックシンドローム」ではなく「身体不活動シンドローム」と呼んだほうがよいとしている。また同博士は、メタボリックシンドローム予防のために、1日30分、週5日の身体活動を行うことを奨励している。