BMIは心疾患リスクを正確に反映しない
肥満指数として知られるボディー・マス・インデックス(BMI)は、心疾患の予測因子としても広く用いられているが、体の筋肉と脂肪の関係を反映していないため、あまり正確な予測因子ではないことが米国の研究で明らかになった。BMIは、体重(kg)÷身長(m)2で得られ、18.5以上25未満が「正常」、25以上30未満が「過体重」、30以上が「肥満」とされている。
英医学誌「The Lancet」8月19日号掲載の米メイヨークリニックの研究では、対象者25万人以上を含む40件の研究データを分析した結果、BMIが30〜35の「肥満」の人に比べ、20未満の人で心血管疾患のリスクが高いことが判明した。
研究チームは、特に高齢者でBMIと死亡率のポジティブな関連性が欠けている理由として、BMIが体脂肪の状態を反映していないことを挙げている。体重測定では、脂肪と脂肪以外のものを区別することができず、さらに脂肪以外のもの(主に筋肉)は年齢とともに失われていく。研究主任のFrancisco Lopez-Jimenez博士は「脂肪と筋肉を区別するよりよい方法は、腹部断面画像の撮像と、ウエスト-ヒップ比を求めることである」と述べている。
英国の75歳以上の高齢者約1万5,000人を対象にした研究では、同年齢層の死亡リスクを算定するにはBMIは不適切と結論付け、BMI高値と健康リスクの関係は年齢とともに弱まるとしている。さらに心血管機能に悪影響を与える「太鼓腹」を見極めるには、BMIよりもウエスト-ヒップ比のほうが優れると指摘している。
米コロラド大学内科教授で米国心臓協会(AHA)前会長のRobert H. Eckel博士は、分析研究の追跡期間が平均で4年に満たない点を取り上げ、「リスクを判定するにはより長い期間が必要であり、血圧コントロールなどの影響を判断するには4年では不十分」としながらも、「研究の内容いかんにかかわらず、肥満予防は誰もが望んでいることだ」と述べている。