予想以上に多い乳癌(がん)化学療法の副作用
乳癌(がん)の化学療法を受けた患者において、副作用で入院または救急室に搬送される例が、臨床試験から予測される件数よりも多く、それに伴う医療費も増加していることが、米医学誌「Journal of the National Cancer Institute」8月18日号掲載の研究で明らかになった。
乳癌化学療法の副作用による入院はまれとされているものの、一般集団での発現状況の検討を行った研究は少ないことから、米ダナ・ファーバー癌研究所(ボストン)のMichael Hassett博士らは、最近乳癌と診断された女性1万2,239人の記録から関連データを収集、検討した。被験者は全例63歳未満で、うち4,075人が化学療法を受けていた。化学療法受療の有無を問わず、初めての診断後1年間の入院と救急室搬送の発生件数を検討した。
その結果、化学療法群の入院や救急室搬送の比率は61%、非治療群では42%であった。最も一般的な原因は、熱と感染で、次いで低赤血球数、さらに脱水と電解質平衡異常などであった。また、化学療法群の女性では、追加医療費が非治療群に比較して1,200ドル(約14万円)以上多く、救急搬送費用も1万7,000ドル(約200万円)以上多かった。
Hassett博士は、一般集団での件数が多い理由として、臨床試験では起こりうるすべての副作用を検出できなった;臨床試験の被験者は一般の患者より深刻な副作用が少なかった;臨床試験はまれな副作用を検知できなかった;今回の研究は、医療記録ではなく病院の請求書から情報を得ており、副作用例を過剰に引き出した、などが挙げられると述べている。
米タフツ大学ニューイングランド医療センター(ボストン)乳癌プログラム責任者のJohn Erban博士は「副作用の追跡は非常に困難であり、研究で用いたシステムは不完全ではあったが、若年女性での実態を定量化したものであろう」と研究を評価。「医師から提案された化学療法は非常に役立つものであり、患者はそれを恐れる必要はないが、事前に期待できる便益と起こるべく副作用のタイプを問いただしておくことが望ましい。化学療法を受けるか否かの判断は患者個人の状態に基づくもので、小さな癌では便益がリスクを上回ることはないが、大きな癌や高リスクの癌では、通常、便益はリスクを上回る」と述べている。