小児癌(がん)を経験した成人で高い自殺リスク
小児期に癌(がん)を経験した成人生存者の8人に1人が、自殺未遂の経験や自殺念慮(ねんりょ)のあることが、米ダナ・ファーバー癌研究所(ボストン)のChristopher Recklitis氏らの研究で明らかになった。
米医学誌「Journal of Clinical Oncology」8月20日号に掲載された研究は、小児癌を経験した226人を対象に行われた。平均年齢は28歳で、癌を初めて診断された以降、平均18年間にわたりインタビューを受けた。
被験者のうち29人が自殺の兆候を報告しており、うち19人が自殺念慮のみがあると答えた。1人が過去に自殺未遂の経験があったが、現在ではその願望はないと答え、9人が過去に自殺未遂を経験し、現在もその願望があると答えた。
29人中11人でのみ、うつ病の標準評価スケール(尺度)で有意なうつ状態が判定されたことから、自殺念慮の同定にはうつ病に関する質問設定以外のものが必要という。
自殺兆候のリスクを高める要因として、癌診断時の年齢が低いことや診断から長い時間が経過していることが挙げられる。そのほかの危険因子としては、成長障害、身体的損傷、記憶および認知機能障害、二次癌の発症リスクを高める原因となる頭部への放射線療法が指摘されている。
また、抑うつや絶望感、痛み、身体機能の障害、外見に対する懸念のある者も自殺の兆候を報告している。