腸内産生の蛋白(たんぱく)が疾患を予防
侵入した細菌から腸を守る蛋白(たんぱく)が腸管内に存在することが、米テキサス大学サウスウェスタン医療センターの研究グループにより明らかにされ、科学誌「Science」8月25日号に掲載された。腸が病原菌を撃退する方法に迫るこの新たな知見は、炎症性腸疾患および腸管感染症の治療につながるものだと研究チームは述べている。
研究著者の同センター免疫学助教授Lora Hooper博士によると、腸内面が侵入した細菌に接触すると産生される蛋白が、細菌表面の糖に結合することによって標的となる細菌を速やかに破壊するという。
研究には、プラスチック製の無菌容器内で育てたマウスを使用。このマウスは外の細菌に一切触れていないため、通常は腸内に住みついている細菌をもたない。このマウスをさまざまな腸細菌に曝露させ、腸の内面を覆う上皮細胞がどのような反応を示すかを観察した。
この蛋白はマウスではRegIIIgamma(ガンマ)、ヒトではHIP/PAPと呼ばれ、腸内面を細菌から保護する「電気の柵」の形成を助けるものであるとHooper氏は説明している。痛みのある潰瘍や出血性下痢の原因となる炎症性腸疾患をもつ患者には、HIP/PAP産生の亢進がみられるという。