初の「世界幸福度マップ」、日本は178カ国中90位
世界初の「世界幸福度マップ」(world map of happiness)なるものが完成した。英レスターLeicester大学社会心理分析学のAdrian White氏らが、ユネスコ、世界保健機関(WHO)、米国中央情報局(CIA)などによる100以上の研究報告データをメタ分析し、さらに世界中の8万人にアンケートを行い作成したもので、対象となった178カ国中トップはデンマーク、最下位はアフリカのブルンジ共和国。米国は23位、日本は90位にランクされた。
White氏によると、幸福とは漠然としたものだが、今回の研究にあたっては健康、経済(富)、教育という極めて的確な尺度を用いたという。米国の順位がやや低めなのは、健康面によるところが大きい。最も不可解なのは、どの項目も得点の高い日本が90位という低い位置にランクされていること。「この研究の矛盾する部分の一つ」とWhite氏は指摘する。
アイルランド(11位)、コスタリカ(13位)、セイシェル(20位)などの小さな国は、その一体感の強さから上位にランクされる傾向があった。アフリカの多くの国やロシア(167位)は、健康と教育の格差から低スコアだった。中国(82位)、インド(125位)など多くの人口を抱える国も低い。研究結果は今年(2006年)9月発行の心理学誌に掲載予定、また年末に開催予定のカンファレンスで発表されることになっている(編集部注=この箇所は、レスター大学ニュースリリースに基づく)。
幸福感に関しては、米Pew研究センター(ワシントンD.C.)が2006年に発表した米国人の幸福に関する研究で、幸福はある程度までは金で買えるものだという夢のない結果が出ている。年収が10万ドル(約1,150万円)を超える米国人の49%が自分は幸福だと答えているのに対して、年収3万ドル(約345万円)未満の人で幸福だと答えたのは29%であった。もう一つの重要な項目は結婚で、既婚者は一貫して自分が未婚者に比べ幸福だと回答しており、全体では、米国人の34%が「とても幸福」、15%が「あまり幸福ではない」と答えている。
しかしWhite氏は、米国をはじめとする先進国と開発途上国とでは、幸福を評価する尺度が異なると指摘、「われわれの心配事とアフリカの人たちの心配事を比べてみれば、その違いがわかるだろう」と述べている。