過度の関節柔軟性が慢性疲労症候群に関与
関節の痛みや全身的な倦怠感などを症状として訴える慢性疲労症候群は、かつては、訴えが漠然としているとして受け流されていたが、1988年に医療研究者によってようやく医学的な症状として認定されるようになった。
慢性疲労症候群は、成人では1,000人に4人の割合で見られるが、小児ではそれよりも少ない。突然疲労感に襲われ、それが少なくとも6カ月間続くこと、また、以下の8症状のうち4項目に当てはまることが診断の条件となっている:記憶障害、咽頭痛、頸部または腋窩(えきか、脇の下)リンパ節の圧痛、筋肉痛、関節痛、新たに発生した頭痛、睡眠障害、活動後の倦怠感。
米ジョンズホプキンス小児センター(ボルチモア)小児科教授のPeter Rowe博士は、自身が担当する慢性疲労症候群の少女の関節が異常に柔らかいことにスタッフが気づいたことで、その関連性を研究することに至った。
米医学誌「Journal of Pediatrics」9月号に掲載された同博士らの研究では、慢性疲労症候群で治療を受ける小児60人の60%に、少なくとも4箇所の関節過可動性が認められた。一般では、20%の人に1箇所見られる程度。過可動性の例は、小指が90度反る、親指が前腕に触れる、前屈で両手のひらが地面に着くなど。
Rowe博士は、過活動関節があることが慢性疲労症候群の持ち主というわけではないとしながらも、両者には強いつながりがあるという。同博士は、過可動性が腕や足の末梢神経を圧迫し、結果的に神経系全体を疲労させるか、可動範囲の過剰な広さが間接的に同症候群を引き起こしているのではないかと考えている。そして、慢性疲労症候群のより優れた治療法開発のためにも、関節過可動性を精査し、成人でも同様の結果が得られるか否かを検討したいとしている。
米デポールDePaul大学(シカゴ)教授のLeonard Jason氏は「遺伝的要因の関与も考えられ、両親を調べる必要がある」と述べている。