カレーに大腸癌(がん)の予防効果
タマネギやカレーに含まれる化学物質が、大腸癌(がん)予防に役立つことが、米ジョンズホプキンス大学(ボルチモア)医学部の研究で明らかになった。
米医学誌「Clinical Gastroenterology and Hepatology」8月号掲載の今回の研究は、遺伝的に大腸に発生する前癌性のポリープである家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)の患者5人を対象に行われた。FAPは、多数の大腸ポリープが発症し、最終的に癌に進展するのが特徴。
患者は平均6カ月間、20mgのケルセチン(タマネギに含まれる抗酸化物質)と480mgのクルクミン(カレーの主な材料のターメリックに含まれる成分)を1日3回摂取。その結果、ポリープの平均数が60.4%減少し、平均サイズも50.9%縮小した。
これら物質がFAP患者に有意な効果のあることを示した初めての研究であり、同大消化器病学部長のFrancis M. Giardiello博士は「鍵となる成分はクルクミン」と指摘する。同博士は「投与したケルセチンの量は、多くの人が毎日摂取するのとほぼ同量だが、クルクミンは通常食事で摂取する量より数倍多く投与した。ターメリックに含まれるクルクミン量は重量換算でわずか3〜5%に過ぎないことが理由」と述べる。
同博士によると、単にタマネギやカレーを摂取するだけでは、今回のような効果は期待できないという。今後、より多くの患者を対象にした無作為化臨床試験を計画している。