誘発分娩は朝が望ましい
誘発分娩は夜ではなく朝行うのが望ましい、とするオーストラリアの研究が報告された。研究者らはその理由として、自然分娩のタイミングからすれば朝が最良であり、誘発に伴う合併症も少ないことを挙げている。
米医学誌「Obstetrics & Gynecology」8月号に掲載された今回の研究は、誘発分娩を予定している女性620人を対象に、280人を午前8時の入院、340人を午後10時の入院に無作為に割り付けた。
その結果、分娩に24時間以上要した女性数、子宮過剰刺激、胎児の心拍数変動、帝王切開出産など主な項目では、統計的に有意差な違いは認められなかったが、午前群では分娩促進薬オキシトシンの注入例が45%で、午後群の54.1%より少なかった。また、初産女性での会陰切開出産は、午前群で16.1%、午後群では34.2%だった。
研究ではこうした違いの原因を特定できなかった。研究著者でアデレード大学小児学・生殖健康学部のJodie Dodd博士は「これら知見が生理学的な差を反映しているのか、昼夜間のスタッフの臨床行為に反映しているかは不明」としている。
また、両群間に分娩医療に対する満足度に差はなかったが、午後群は睡眠不足が不満としていた。Dodd博士は「出産予定女性はこうした情報を与えられ、いつ誘発分娩するかを自ら決める機会を与えられるべき」と述べている。
これに対し、米レノックスヒル病院(ニューヨーク市)産婦人科医のJennifer Wu博士は「事はそう単純なものではなく、誘発開始時間の決定には、分娩室の枠、医師や患者のスケジュール、また、検査結果が疑わし場合など、調整しなければならない要因が他にも多くある」と指摘する。さらに同博士は「研究では朝入院すれば分娩が夜になると仮定しているが、必ずしもそうではなく、朝のうちに誘発され、午後2時までに出産する人は多い」と述べている。