高飽和脂肪食は少量でも冠動脈には酷
飽和脂肪を多く含むキャロットケーキ1切れとミルクセーキ1杯で、心疾患を防ぐ体内能力が低下することが、オーストラリアの研究で明らかになった。
米国心臓病学会(ACC)誌「JACC」8月15日号掲載の、18歳〜40歳の健常者14人を対象とした研究では、被験者は1カ月間隔で2種類の食事を摂取し、食前、食後3時間、6時間に血液採取を行った。食事内容は、キャロットケーキ1切れとミルクセーキ1杯と同じだったが、一方は高飽和脂肪のココナツ油を、他方は不飽和脂肪の多い紅バナ油を使用した。
食後3時間では、高飽和脂肪食群では血流を増加させる動脈の拡張能力が低下していた。不飽和脂肪食群でもわずかに低下していたが、両群間で有意差は認められなかった。また、食後6時間の血液検査では、高飽和脂肪食でHDL(善玉)コレステロールの抗炎症作用が低下していたのに対し、不飽和脂肪食では改善していた。
シドニー大学ロイヤルプリンスアルフレッドRoyal Prince Alfred病院心臓研究所のDavid Celermajer氏は「高飽和脂肪食は、血管の炎症を起こしやすくし、血栓の原因となるプラークの蓄積を促進する可能性がある」と述べている。
米タフツ大学(マサチューセッツ州)心血管栄養研究所所長のAlice H. Lichtenstein氏は「今回の研究で認められた影響は一時的なものであり、心疾患リスクに対する長期的影響に関する情報は不十分」と述べている。Celermajer氏も、影響が一過性である可能性は認識しているが、「高脂肪食を摂取するたびに起こる可能性もあり、懸念すべき事柄だ」としている。