男女で異なる体形改善へのこだわり
自分の外見を受け入れられる女性は健康的な食生活を送るが、引き締まった筋肉質な体が望ましいとプレッシャーを感じている男性は不健康な食生活や運動に固執する傾向にあることが、ニューオリンズで開催の米国心理学会(APA)年次集会で発表された米オハイオ州立大学の研究で明らかになった。
研究は男女大学生を対象に行われ、男子大学生285人を対象とした研究では、家族、友人、恋人などからの筋肉質な体形に関するプレッシャー度が調査され、強く感じている男子学生ほど期待にこたえようとしていた。また、自分の体形を低く評価する男性は、摂食障害、ステロイド使用、ウエイトトレーニングへの執着など、危険な行動を起こすことも示された。
同大心理学助教授のTracy Tylka氏は、この種の体形に対するプレッシャーは、かつては女性を悩ませるものであったが、最近では男性の行動に影響を与えているという。
一方、女子大学生597人を対象とした研究では、本能的な食生活をすると答えた女学生では、自分の体形に対する満足度が高いことが明らかになった。彼女らは、体形について考える時間が短く、逆に、体がどう感じるか、どう機能するかについて考えることが多かった。また、成長過程において、両親や他の人から自分の体形を受け入れられたと感じていたこと、現在周囲にいる人たちにも認められていると感じていることが明らかになった。
Tylka氏は以前、「本能的な食生活」に関する研究で、こうした食生活の女性は、他の女性より肥満指数(BMI)が低いことを明らかにしている。本能的な食生活とは、空腹ならいつ、何を食べても構わない、精神的ではなく肉体的欲求に従う、食事時間や摂取量は空腹感や満腹感で判断するというもの。同氏は「制限がなければ大食いをすると考えがちだが、体の欲求に従えばそうはならないし、高栄養価の食事を適量摂取するようになる」と述べている。
Tylka氏は「周りの人が自分の体形を受け入れてくれていると感じれは、体重を落としたり、筋肉を調整したりする必要はないと考えるようになる。それが本能的に食事をすることと直接結びついているようだ」と述べている。