ヨガが中年層の減量に有効
古代から伝わる修行法ヨガは、単に筋力や柔軟性を高めるだけではなく、中年層の減量に有用であることが明らかになった。米Fred Hutchinson癌(がん)研究センター(シアトル)がヨガの体重減量に対する影響を初めて評価し、その結果が医学誌「Alternative Therapies in Health and Medicine」7/8月号に掲載された。
同センター癌予防研究プログラム副代表で、ワシントン大学疫学教授のAlan R. Kristal氏らは、53〜57歳の健常男女1万5,500例を対象として、体重の記録とヨガをはじめとする運動に関して質問調査を行った。
10年間ヨガを実施していた45〜55歳の過体重(肥満度25-30)例は、平均約2.3kgの減量をみたが、ヨガをしていない過体重例は平均約6.1kg増大した。また、同じく10年間定期的にヨガを実施していた正常体重例は、ヨガを実施していない正常体重例よりも体重増加分が約1.4kg少なかった(4.3kg対5.7kg)。
Kristal氏はヨガを実施することによって、健全な食生活や運動の習慣を心掛けるようになり、間接的に有益性が得られるのではないかと考えている。一方、メリーランド大学統合医療センター医学部長のJanine Blackman博士は、ヨガによる精神状態がストレスに対して健康的な反応を生み出し、ストレスによる過食を防ぎ、ストレスホルモンの分泌を低下させるとの考えを示している。
いずれにしても両氏とも、今回の試験の限界を補う形でさらに研究を重ねる必要性がある点で意見は一致している。Kristal氏によれば、ヨガのタイプによる身体的強度の差が考慮されていないほか、個人の記憶に基づく自己報告によるものであるため、今後の観察試験で不足部分を補うことができれば、大規模な無作為化試験を実施することができると期待している。