魚油が心機能を助ける機序が明らかに
魚油(フィッシュオイル)が高齢者の心臓の電気的活動を調節することにより、心機能を助けることが米国の研究で明らかになった。オメガ-3脂肪酸を豊富に含む魚を、週2-3回、揚げないで焼くか、煮て食べることにより、その効果が得られ、突然死のリスクを低減させるという。
従来、マグロ、サバ、レイクトラウト、サケなどオメガ-3脂肪酸を豊富に含む魚は心臓によいと言われてきたが、その理由は不明だった。米ブリンガム&ウイメンズ病院(BWH、ボストン)のDariush Mozaffarian博士らは、65歳以上の男女5,000人以上を対象に行われた「Cardiovascular Heart Study(心血管・心臓研究)」のデータを分析。被験者は、魚の摂取の有無、摂取する魚の種類や頻度を質問され、研究者は回答内容と心電図検査結果を比較検討した。
その結果、魚の摂取により心拍数が減少し、また心臓が血液を押し出すようにシグナルを受け取るのと実際に駆出するまでのインターバル(時間)がより短くなり、さらに心臓が拍動後の電気生理学的システムのリセットに要する時間を低下させることが明らかになった。Mozaffarian博士は「このうち最後の効果は重要で、心臓は毎回の拍動後に電気的活動をリセットするが、心疾患がある場合にはリセットが遅れることがあり、危険につながる」と述べている。
動物の研究では、オメガ-3脂肪酸の便益効果は示されている。「魚油は心筋細胞の細胞膜に浸透し、蛋(たん)白質チャネルの機能に影響を与える。カリウム、ナトリウム、カルシウムがこのチャネルを通過して、すべての電気生理学的活動サイクルをコントロールする」とMozaffarian博士は説明する。
魚油のサプリメント(栄養補助食品)に関しては、米国心臓協会(AHA)スポークスウーマンのAlice H. Lichtenstein氏は、最近の研究でその効果に疑問が投げかけられており、サプリメントで簡単に補充できると思うのは間違いだとしている。