原因不明の痛みを緩和する治療法
腰痛、頭痛、疲労、筋骨格系や神経系、消化管系の障害などを含む、医学的に説明できない症状が、米国の何百万もの人に影響を与えており、医師、患者双方にとってストレスとなっている。これら原因不明の症状に対する「治療計画」(treatment plan)が米国の医師チームによって開発された。
米ミシガン州立大学医学部教授のRobert Smith博士は「医学的に説明できない症状は、ごく一般的であり、医療費負担も大きい。症状は容易には消えないため、医師は検査や投薬を追加し、さらには手術を強いるケースもある。挙句の果て、患者はその合併症として、実際に器質性疾患を発症してしまうことになる」と述べる。
同博士のチームが開発した治療計画は、医師-患者間のコミュニケーション改善を図るとともに、行動変容や薬物療法の組み合わせで構成される。約100人の患者を対象とした試験で、約半数で著しい改善が認められた。研究結果は、米医学誌「Journal of General Internal Medicine」7月号に掲載された。
Smith博士は「治療計画は、精神医学やペインクリニックで学ぶ認知行動療法や薬理学的療法などを活用し、プライマリケア医が使えるように単に修正を加えただけのものである。ただしその核となるのは、医師と患者の(信頼)関係である」と述べる。
同博士は「医学的に説明できない症状のある人は、それが “治癒する”ものでないことを理解する必要がある。医師が出来ることは、症状を和らげることであり、痛みは残るかも知れないが、以前ほど生活を妨げることはなくなる」と述べている。