鼻汁には抗生物質の効果は期待できない
「色の付いた分泌物を伴う鼻汁(鼻水)の治療には、抗生物質を処方は必要ない」という、これまでの一般的な治療法に反する結果が、ニュージーランドの研究で明らかになった。
オークランド大学のBruce Arrol博士らは、英医師会誌「British Medical Journal」7月22日号掲載の研究で、重篤な急性鼻炎患者において、抗生物質投与と非投与を比較した良質の対照試験7件を再検討した。
その結果、研究によって違いはあるものの、抗生物質投与は6〜14人に1人の割合でようやく効果が得られていた。また、抗生物質の有害作用(副作用)として、嘔吐、下痢、腹部痛などが挙げられており、こうした副作用は、ある研究では78人中1人、別の研究では12人中1人で発現していた。
米国アレルギー・喘息・免疫学会(ACAAI)鼻炎・副鼻腔炎委員会のRobert A. Nathan博士は「鼻炎は通常はアレルギーが原因の炎症であり、感染が原因の鼻炎ならばそのほとんどがウイルス性で抗生物質は効果がない。副鼻腔感染では通常、細菌が原因となる」と述べ、「抗生物質は鼻炎には投与せず、副鼻腔炎に投与すべきである」としている。
米セントルイス大学(ミズーリ州)内科学教授のMark Dykewicz博士は、抗生物質の過剰投与による耐性菌の問題に触れ、今回の研究結果は、米食品医薬品局(FDA)のガイドラインにある「7〜10日未満の化膿性鼻炎に抗生物質は勧められない」ことをサポートするものであるという。同氏は、症状が2週間以上続くならば、抗生物質による治療も考慮するとしている。