アルツハイマー病患者の徘徊(はいかい)を減らす
徘徊(はいかい)は、アルツハイマー病では一般的だが、危険な症状でもある。患者は、突然外出して道に迷い、自分の居所がわからずに怯(おび)えて混乱する。多くは、どこへ行こうとしているかさえ知らない。また、身元や住所も言えない患者が多く、隔離されていない場所や、安全性の確保されていない場所を歩き回るのは非常に危険である。
アルツハイマー病患者の徘徊の原因として、失見当識、治療薬の影響、ストレス、恐怖や不安、不穏状態(情動不安)などが挙げられる。
患者の安全を確保し、徘徊を最小限にするために、米国アルツハイマー病協会(AA)ロサンゼルス支部は、以下のような助言を行っている:
・患者が快適であり、手洗い所の使用の必要がなく、空腹も、のどの渇きも感じないように常に注意する。
・不穏状態や退屈を軽減するため、定期的に運動や活動ができるようにする。可能であれば、洗濯や、簡単な料理や掃除など、家事を手伝わせる。
・自分は手助けをするためにいることを頻繁に患者に伝える。また、今居る場所に居ればよく、どこへも行く必要がないことを十分理解させる。
・静かでリラックスできる環境を保つ。患者を怯えさせ、うろたえさせるような音や混乱を避ける。
・外を徘徊し、道に迷うことがないよう、可能であればドアに鍵をかける。
・患者がいなくなった場合の手はず-身長や体重の情報、近影の写真など-を整えておく。また、以前に徘徊した場所や、出かけたことがあり、行こうとする可能性がある場所のリストを作成しておく。