心臓の健康によい習慣は子供のうちから
コレステロール低下対策を売り込むコマーシャルでは、中年の男女が主役を努めるのが通常となっている。軟らかく、脂っぽい物質が、この年齢期から動脈を詰まらせ始め、心疾患リスクを上昇させるためだが、専門家はリスク対策は幼少期から始めるべきだとしている。心臓の健康に良い習慣を幼児期に植え付ければ、将来のリスクを大きく軽減することになる。
人生の早期から心臓によい食事を始めることの重要性は、現在フィンランドで進行中の研究で立証されている。研究者らは、1990年当時7カ月だった乳児1,000人を対象に追跡調査を実施。半数の児は食事制約がなく、残り半数の親は、低飽和脂肪食を与えるよう指示され、親は年2回、食事や生活スタイルに関するカウンセリングを受けた。
子供が11歳の時点で行った超音波検査で、食事とカウンセリングの効果が明らかになった。検査では、低飽和脂肪食の男児の動脈血管は拡張しやすく、血液の流れやすいことが判明。女児では、成人女性の研究でも報告されているように、明白な差は認められなかった。
研究者でTurku 大学セントラル病院のOlli Raitakari博士は「女性ホルモンのエストロゲンがLDL(悪玉)コレステロール受容体の数に影響を与えていることが考えられる」と説明する。子供たちが20歳になるまでこの研究は継続されるが、女児でも効果は得られるものと、同氏らは確信している。
米「Action for Healthy Kids」の役員で、登録栄養士のAlicia Moag-Stahlberg氏は「米国のガイドラインでは2歳未満児に対する脂肪摂取上のいかなる取り扱いも奨励していない。2歳以上の子供に対しては、米国小児科学会(AAP)は、果物や野菜、全粒粉、低脂肪・無脂肪乳製品、豆類、魚、赤身肉を豊富に摂取し、飽和脂肪やトランス脂肪を少なくするよう勧めている」と述べる。また米国心臓協会(AHA)とAAPは、2〜3歳児の脂肪摂取量を総摂取カロリーの30〜35%まで、4歳から10代後半までは25〜35%としている。