エナジードリンクの効果は短時間
糖分含有のエナジードリンク(栄養ドリンク)は、活力を与えるのではなく、実際には眠気を助長することが、英Loughboroughローボロー大学睡眠研究センターの研究で明らかになった。
同センタのClare Anderson氏は、以前の研究では、ドリンクに含まれる多量の糖分が認識能力を向上させるとしているが、その効果は摂取直後に発生していると説明する。英医学誌「Human Psychopharmacology: Clinical and Experimental」オンライン版7月号に掲載された研究では、糖分摂取で瞬時に活力がわく現象、いわゆる「シュガーラッシュ」について、同現象が消える摂取後15分以降の効果を検討した。
被験者となった10人の成人健常者は、調査前日の睡眠時間を5時間に制限された。当日は軽い昼食後に、高糖分・低カフェインのエナジードリンク(糖分42g、カフェイン30mg)か、同じ味で無糖のプラセボ飲料のいずれかを摂取し、その後、眠気と集中力を評価する試験を90分間受けた。
その結果、摂取後70分で、高糖分群は、プラセボ群に比較して、反応の遅れや集中力欠如など、眠気の悪化が認められた。Anderson氏は「カフェインを含まない高血糖飲料は、短時間のシュガーラッシュを超えると眠気を妨げなくなり、嗜眠傾向(うとうとした状態)をもたらすようになる。眠気を催している人では効果はほとんどない」と述べている。
米テキサス大学サウスウェスタン医療センター臨床栄養学助教授で米国栄養士会(ADA)スポークスウーマンのLona Sandon氏は「エナジードリンクという名前の付け方が間違っている。一種の単糖というカロリーの形で確かにエネルギーは提供しているが、単糖は、消化、吸収、代謝が早く、エネルギー効果が持続しない」と説明している。
同氏は「活力を向上させるには、十分な休息と水分を取り、元気の素として、新鮮な果物や野菜、全粒紛や、脂肪分の少ない蛋白(たんぱく)質源から質の高い栄養を摂取することが望ましい」と述べている。