メタボリックシンドロームが心疾患の予測指標であることを確認
メタボリックシンドロームが心疾患リスクの強い指標となることが、過去の研究の解析によって示され、医学誌「Journal of the American College of Cardiology」1月30日号で報告された。
一般に、下腹部肥満、高血圧、高LDL(悪玉)コレステロール、インスリン抵抗性、高血糖値などのうち3つ以上の因子をもつ場合、メタボリックシンドロームとされる。今回、米メイヨークリニック医学部助教授のApoor S. Gami博士は、メタボリックシンドローム患者のリスクを定量化するべく、17万人以上を対象とした37研究についてメタ分析を実施。さらに、各研究を実施した研究者にも詳細な情報を求めた。その結果、メタボリックシンドロームの人は、そうでない人に比べ死亡を含む心臓発作リスクが78%高いことが判明した。
米コロラド大学医学部教授で米国心臓協会(AHA)前会長のRobert Eckel博士は、メタボリックシンドロームの重要性はこれまでにも認識されており、この結果は特に意外性のあるものではないと述べている。しかし、メタボリックシンドロームの基準値については議論が続いており、それぞれの因子をどう定義するかを今後も検討していく必要があるという。
一方、米テキサス大学衛生科学センター教授Michael Stern博士は、メタボリックシンドロームと心血管リスクとの関連は認めつつも、その重要性については懐疑的で、「危険因子(リスクファクター)の気ままな寄せ集め」であるメタボリックシンドロームよりも、長期にわたる「フラミンガム心臓研究」で導かれた方程式の方がリスク評価に優れていると指摘。
これに対してGami博士は、メタボリックシンドロームによるリスクが個々の危険因子によるリスクを50%上回ることが、3つの研究からわかっていると反論している。