“若さの泉”は運動にあり
「健康的に年寄りになる」というと矛盾して聞こえるが、高齢者にとっては、これは運動と正しい食生活、その他諸々の事を意味する。
「Healthy Aging Campaign(健康的に歳をとるキャンペーン)」と銘打った、加齢にプラス思考をもたせるための全米規模の健康促進キャンペーンでは、格好よく年をとるための鍵となる4つの項目――体力、社会的な健康、精神的な健康、経済力――を挙げている。
米Baylor(ベイラー)医科大学(テキサス州)のCarmel Dyer博士は、この4項目のうちで体力が最も重要で、「若さの泉は運動にある」と述べる。運動により筋肉量や柔軟性が増して転倒しても骨折しにくくなり、血液中の糖代謝が高まって糖尿病リスクが低下するという。少なくとも1回30分、週3回の運動を勧めており、体力増進にはさらに日数を増やす。低不飽和脂肪の食事や毎日5〜6種類の果物や野菜を摂ることも重要で、喫煙者の場合、禁煙するのに遅すぎることはないという。
自分の危険因子(リスクファクター)を知っていてくれる主治医や、健康管理コーディネーターの存在、心臓病や糖尿病、骨粗鬆(しょう)症などの定期的なスクリーニング検査も大切で、これが寿命を延ばし楽しい老後をもたらすという。高齢者は不必要な薬物療法も避けるべきで、たとえそれがビタミン剤であっても、8種類の薬を服用していると100%、何らかの相互作用があるという。運動と食生活で代替できる処方薬もあり、医師に薬を服用する理由を聞くことが望ましい。
精神面での明晰さを保つために、旅行、新しい技術の習得、読書、新しい興味の探求、趣味の開拓など精神的エクササイズもすべきだという。身体が健康なことも、精神面での健康につながる。
健全な社会生活も精神面での明晰さにつながる。社会的ネットワークが縮小すると、うつ状態になるのは簡単だという。多くの高齢者がボランティア団体や宗教組織、市民団体を通じて地域社会に時間を提供している。地域高齢者センターの講義やコミュニティカレッジにも参加できる。毎日手紙を書いたり電話したりすることで、友達や家族と音信を保つことを専門家は勧めている。
経済的な安定も必要で、退職のかなり前から、少なくとも収入の10%を貯蓄し、複利の利子がつく貯蓄プランに投資すべきで、退職間近にある人は目標を定めて退職後の資金を準備すべきだという。そして、その資金は信頼できる人に委託し、安全な場所に管理する。