アルツハイマー病の管理コストは世界規模で約29兆円
アルツハイマー病や認知症患者のケア(管理)費が、世界全体で年間2,480億ドル(約28兆5,200億円)に上ることが、先ごろスペインのマドリードで開催された国際アルツハイマー病学会(ICAD)で報告された。
スウェーデンの研究で明らかにされたこの数値は、世界全体で2,800万人と推定されるアルツハイマー病や認知症の患者数を基に、非公式の管理費用として920億ドル(約10兆5,800億円)を新たに割り出し、すでに計上されている直接(公式)管理費用の1,560億ドル(約17兆9,400億円)に加えて算出した。
非公式管理とは一般的に、家族や友人が提供する無償の管理を意味し、公式管理は、治療、継続的な日常生活の援助、居住支援など、専門的な健康管理に支払われるものをさす。
報告者でカロリンスカ研究所ストックホルム老人学研究所・老化研究センターのAnders Wimo博士は「認知症の管理には専門家と家族の双方がかかわっており、世界全体で考えれば、管理に要する費用は計り知れず、先進国における高齢者数の急増が予測される中で、この数値は社会システムや健康管理システムが直面する大きな課題となっている」と指摘する。
また、米国アルツハイマー病協会(AA)のWilliam Thies氏は「アルツハイマー病の患者数は増加し続けており、管理に要する費用の拡大は、患者家族や国の健康管理システムが大きな問題に直面していることを示す」と述べている。
同氏は「このような切迫した世界規模の健康災害を阻止するには、アルツハイマー病の早期発見、治療法や予防法改善の研究により多くの資金を供給することが重要であり、今研究に費用を注がなければ、アルツハイマー病が米国のみならず世界全体の健康システムを飲み込んでしまう」と警告している。