妊娠中の喫煙が児の行動障害の原因に
妊娠中に喫煙した母親の子供は、喫煙しなかった母親の子供と比較して、後年に行動障害(behavior problems)を起こす可能性が高く、こうした障害は、早ければ生後18〜24カ月で現れることが、米英の研究者チームにより明らかにされた。研究者らは、妊娠中の喫煙と生後1年目にみられる児の攻撃的あるいは拒絶的な反応などの行動障害との関連性を明らかにした初めての研究であるとしている。
米医学誌「Child Development」7/8月号掲載の同研究は、1〜2歳の幼児93人を対象に実施された。被験者の47%が妊娠中に喫煙した母親から生まれており、これらの児は行動障害を起こす頻度がより高かった。また、子宮内でたばこに曝露しなかった児の行動障害は、長期にわたって比較的安定していたが、曝露した児では、生後18カ月から24カ月にかけて大幅に増加した。
研究者は、妊婦の喫煙が胎児の行動を調節する脳システムに影響を与えるとみている。
研究結果は衝撃的なものだが、研究者の一人、米イリノイ大学のLauren Wakschlag氏は、出生前のたばこの煙への曝露が、実際に行動障害の原因であるとの実証には至っていないという。
しかし、同氏は「今回の知見は、たばこが脳のどの領域に影響するかに関して新しい視点を提供している。また、たばこに曝露した胎児が、生後1年でどのようにして行動障害を示すようになるかを明らかにすることで、深刻で慢性的な行動障害の発症を防ぐ可能も浮き彫りにした」と述べている。