食中毒をふせぐお弁当づくり
夏休みに海へ山へ。きれいな空気のもと食べる食事はとてもおいしいですね。お弁当持参のキャンプでもおいしさ3割増しになる経験は、みなさんきっとお持ちですね。
でもそこで気をつけなければいけないのは食中毒の心配です。家から持参の手作り弁当、コンビニやスーパーで買ってもっていくお弁当や生鮮品など、知っているとお得な知識を紹介しましょう。不幸な夏休みを自ら招かないようにしましょうね。
買い物と保存
お弁当の中身なんにしよう? ついついお弁当のメインのおかずになる、肉や魚から選んでいませんか? 生鮮食品を選ぶのは、買い物の一番最後にしましょう。食品を選んでから家の冷蔵庫に入れるまでのあいだ、食品は常温にさらされて細菌が増殖しやすくなってしまいます。
また、肉や魚などは1つずつビニール袋に入れ、小分けにしておきましょう。ほかの食品と混ざらないようにしておくことで、菌が移らないよう予防します。
買い物から帰ったら、食品はすぐに冷蔵庫や冷凍庫へ保存しましょう。目安として、冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は−15℃以下を維持しましょう。細菌の多くは、10℃で増殖がゆっくりとなり、−15℃で増殖が停止します。ただし、細菌が死ぬわけではないので、食品は早めに使いきりましょう。
冷蔵庫の開け閉めも要注意です。何度も開け閉めすると、思った以上に温度があがってしまいます(室温30℃で16℃の冷蔵庫を15秒間空けておくと、冷蔵庫の中は18℃にまで上がってしまいます)。
準備と調理
調理する際は、冷凍した食品を調理台などに放置して自然解凍するのはやめましょう。室温で自然解凍すると食中毒菌が繁殖するおそれがあります。解凍には電子レンジを利用しましょう(ただし、電子レンジを使用しても、菌が死滅するわけではありません)。
包丁、まな板、保存容器などは、使用後すぐに洗剤と流水で洗いましょう。洗った後、熱湯をかけると消毒効果があります。ふきんやタオルは漂白剤につけたり、たわしやスポンジを煮沸するとより効果的です。
お弁当を詰めるときは、必ず調理した後、一度さましてからお弁当箱に入れましょう。調理後まだあたたかい食品をお弁当箱に入れると、冷えている食品の腐敗変色を促進させる恐れがあるからです。
さあ食べよう!
食べる前はかならず手を洗いましょう。お弁当を取り分けるときも、清潔な手で、清潔な器具を使い、清潔な食器にとりわけましょう。
お弁当はなるべく室温で放置しないようにしましょう。時間が経ちすぎたら、思い切って捨てましょう。少しでもおかしいと思ったら、口にいれてはいけません。
お店でお惣菜やお弁当を買うときも、汗をかいている食品は購入を避けましょう。お弁当に表示してある調理した時刻をチェックして、調理後3時間以内に作られたものを購入するようにしましょう。食べる直前にレンジをかけると菌は減ります。
私たちの生活空間には、無数の食中毒菌が潜伏しています。高温になるとどんどん増えてくる厄介者です。夏休みを快適に過ごすためにも、厄介者は寄せ付けたくありませんが、万一寄せ付けてしまっても正しい対応がとれるようになりましょう。
もしものときの応急処置
食中毒をおこすと、まず消化器官に症状があらわれます。腹痛、悪心、嘔吐、下痢、発熱、脱力感など、食中毒の症状はどれも似ているため、原因菌を特定するのは簡単ではありません。早急に医師の判断を仰ぐようにしましょう(くわしくは、夏の健康まめちしき「食中毒ってなぜ夏に多いの?正しく知って対処しよう」を参照して下さいね)。
日頃からの予防に加え、食中毒を疑うような症状が見られた場合の応急処置を知っておくと、いざというとき心強いものです。
◆家庭での応急処置で気をつけること
食中毒の疑いがある場合、家庭での応急処置でとくに注意しなければならないのは水分補給です。激しい下痢や嘔吐を繰り返すと、身体の水分が不足し、脱水症状を起こすということをおぼえておいてください。症状に見合う量の水分と電解質を口から補給しましょう。このとき、冷たい水や清涼飲料水は腸への刺激が強いので避けましょう。
電解質を補う飲み物として、以下のようなものが良いでしょう。
・塩を入れたおもゆ
・スポーツドリンク
・常温に近いお茶
また、誤嚥を避けるため横向きに寝かせ、そばに洗面器やタオルなど用意し、吐きやすい体位がとれるよう介助しましょう。自己判断で下痢止めや鎮痛剤を飲まないようにし、もし飲んでしまった場合は医師の診察を受ける際に、必ずその薬を持参するようにしましょう。
◆発病の手がかりになるものはすべて医師に伝える
病院に急いで行ったとしても、職場や学校など集団の場でない限り、食中毒の発生源は突き止めにくいものです。「いつ、どこで、なにを食べたか」これがわかれば病気の特定に役立ち、治療に大きな役割を果たします。
受診する際、食中毒の原因として疑わしい食品・嘔吐物・下痢便など、肉眼による観察や微生物検査の大切な検体になるものは、ビニール袋などに入れて持参しましょう。発症からの経過メモも役立ちます。
◆治療をうける場所
外出先でかかりつけの病院が遠い場合、軽症なら近所の内科か小児科で適切な治療が受けられます。重症の場合、腎臓や感染症の専門医がいる総合病院でなければ対応できないときは、地域の保健所に連絡しましょう。どの病院を受診したらいいか、とるべき対処の仕方も教えてくれます。
近所なら、休日や深夜でも治療してくれる医療機関を、区や市町村の広報誌などを参考にして、日ごろから調べておきましょう。
手作りのおいしくて安全なお弁当をもって、海や山へいくと楽しさ倍増ですね。食中毒を招かないよう十分注意して、楽しい夏休みを過ごしましょう。