肺癌(がん)の熱焼灼療法に高い延命効果
高周波エネルギーにより腫瘍を焼いて癌(がん)細胞を死滅させる熱焼灼(しょうしゃく)療法(thermal ablation)と呼ばれる非外科的治療によって、末期肺癌患者に数年の延命が認められることが、米ロードアイランド病院の研究で明らかにされた。
この研究は、推定余命1年未満で、手術に適さないstage(病期)I〜IIの非小細胞肺癌(NSCLC)患者41例を対象に実施された。このうち27例が熱焼灼療法の後に外部放射線療法を受け、残る14例は熱焼灼療法の後に腔内照射療法を受けた。熱焼灼療法の高周波エネルギーとして、ラジオ波とマイクロ波が用いられた
41例中、98%が6カ月生存し、87%が1年、70%以上が2年、57%以上が3年生存した。全体の平均生存期間は42.2カ月であった。腫瘍の大きさが3cm未満であった17例で最も良好な転帰が認められ、平均生存期間は44.4カ月であった。
研究を行なったDamian Dupuy博士によると、非小細胞肺癌と診断された患者のうち手術に適するのはわずか3分の1で、これ以外の患者は余命12カ月未満という現実に直面することになる。この新しい治療法は効果が高いばかりでなく、これまでほかに選択肢のなかった患者の治療を可能にするもの。画像技術を駆使して目標を定めた熱焼灼療法により肺癌を焼いて破壊し、患者の余命を延ばすことができるとDupuy氏は述べている。(※編集注=熱焼灼療法は肝癌治療にはすでに用いられている)