勃起不全は冠動脈疾患の前兆
重度の冠動脈疾患をもつ男性ほど勃起不全(ED)の有病率が高く、EDは冠動脈疾患の症状よりも2〜3年早く現れることから、EDが心疾患のサインとなることがイタリアの研究により判明した。
医学誌「European Heart Journal」オンライン版7月19日号に掲載された研究によると、ED患者は米国で40〜70歳の男性の52%を占め、世界では3億2,200万人になる。EDと冠動脈疾患には、糖尿病、喫煙、高血圧、高コレステロール、肥満、うつ症状および運動不足など、共通する危険因子が多数みられ、冠動脈疾患患者のED有病率は75%に上るという。米国泌尿器科学会(AUA)のIra Sharlip博士によると、EDが心疾患の一形態であることを示す知見が増えてきているという。
今回の研究は、冠動脈疾患の重症度とED有病率との相関を調べることを目的としたもの。冠動脈疾患をもつ285例の患者を、急性冠症候群(ACS)で1枝病変群(第1群)、急性冠症候群で2〜3枝病変群(第2群)、慢性冠症候群の患者(第3群)、冠動脈疾患が疑われたが血管造影により異常が認められなかった対照群(第4群)の4群に分けた。第1群ではED有病率が22%、第2群では55%、第3群では65%、第4群(対照群)では24%であった。
1枝病変群と2〜3枝病変群との間で、有病率に差がみられたが、症状には差がみられなかった。またEDが認められる場合、1枝病変よりも多枝病変のリスクが4倍であった。EDと冠動脈疾患の両方をもつ男性では、93%が狭心症を発症する1〜3年(平均2年)前にEDの症状を訴えていた。
これらの結果から、著者らはEDをもつ男性は冠動脈疾患に十分注意する必要があると述べており、他の専門家も同意見で、EDの症状が現れたら、明確な危険因子がなくても心血管の検査を受けるべきであると述べている。