新しい埋め込み型避妊薬をFDAが承認
長期埋め込み型避妊薬Implanon(Organon オルガノンUSA社)が、このほど米食品医薬品局(FDA)により承認された。低用量のプロゲスチン(黄体ホルモンであるプロゲステロンに類似の合成薬)が3年持続して放出されるもので、1998年よりすでに30カ国で250万人の女性が使用している。FDA生殖・泌尿器部門のScott Monroe氏は、この製品を「高い効果が認められるほか、患者の服薬遵守(コンプライアンス)に左右されない点も重要」と評価している。
過去に同様な埋め込み型避妊薬Norplant(Wyethワイス社)があったが、これは一部ロットで避妊に十分な量のプロゲスチンが含まれていないという問題が生じ、2002年に自主的に回収された。Implanonについては、このような心配はないという。Monroe氏によると、Implanonは医用高分子で作られたマッチ棒大の製剤で、上腕内側の皮膚内に埋め込み使用する。挿入、除去ともに局所麻酔により短時間で完了し、除去後はすぐに受精能力(妊よう性)が回復するという。ただしHIV(ヒト免疫不全ウイルス)などの性感染症の予防効果はなく、不正出血や無月経がみられることもある。
米国で実施された臨床試験では、妊娠例はわずか6例(1%未満)。いずれも除去後2週間以内の妊娠で、慎重を期すため除去前の妊娠とみなしたもの。Monroe氏によると「市販後のデータでは、正しく挿入していても妊娠した例があり、他の避妊法と同様、100%確実とはいえないが、効果が高いことは確か」だという。臨床試験に参加したのは体重が標準の130%以内の女性のみであったため、肥満女性への効果に対する疑問もあるが、各国の市販後データでは肥満女性にのみ妊娠例がみられるということはないという。
Organon USA社は今後、医療機関向けの研修プログラムを開始し、研修を終えた機関からのみ注文を受ける予定。価格は未定だが、ほかの多くの避妊法を3年間使用するより低コストになるという。2007年には広く利用可能になるとのこと。