DASH食事療法で炭水化物を減らすとより効果的
血圧やコレステロール値を低下させ、長期的に心臓病リスクを軽減するとして米国政府が奨励しているDASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension、ダッシュ)ダイエットは、炭水化物の一部を高蛋白(たんぱく)質あるいは高不飽和脂肪酸に置き換える改訂版にすると、さらによい効果をもたらすという。この知見は、ダラスで開催された米国心臓協会(AHA)年次集会で発表され、米国医師会雑誌「JAMA」11月16日号に掲載された。
DASHダイエットは、1990年代半ばに米国立心肺血液研究(NHLBI)が開発したもので、炭水化物を多く摂り、果物、野菜や低脂肪の乳製品を重視するもの。しかし悪玉コレステロールであるLDL(低比重リポ蛋白)を減らすが、善玉コレステロールのHDL(高比重リポ蛋白)も減らし、トリグリセリド(中性脂肪)には効果がない。
今回の研究では、30歳以上で高血圧または前高血圧の164人が、炭水化物が全カロリーの55%を占めるダイエット群(オリジナルのDASHダイエットに近いもの)、炭水化物のカロリー10%を蛋白質に置き換えた群(3分の2は植物性蛋白質、残りは鶏肉と卵白)、炭水化物のカロリー10%をオリーブ油やカノーラ油などの一価不飽和脂肪酸に置き換えた群の3群に割り付けられた。被験者の約半数は高血圧リスクが高い黒人であった。
3つの方法のすべてで血圧、LDLコレステロール、冠動脈疾患リスクが低下したが、高蛋白質または高不飽和脂肪酸群ではさらによい効果がみられた。
高蛋白質群では、収縮期血圧が高炭水化物群よりも全体で1.4mmHg、高血圧症患者では3.5mmHg下降し、LDLコレステロール値が3.3mg/dl、トリグリセリド値は15.7mg/dl下がった。
高不飽和脂肪酸群では、収縮期血圧が高炭水化物群よりも全体で1.3mmHg、高血圧症患者で2.9mmHg下降し、HDLコレステロール値は1.1mg/dl上昇し、トリグリセリド値は9.6mg/dl下がった。高蛋白質群、高不飽和脂肪酸群ともに長期の心臓病リスクは高炭水化物群より低くなった。
研究者の一人は、薬物治療では血圧や脂質のコントロールが難しい患者もいるが、このダイエットを行えば治療薬が不要になるかもしれないと述べている。研究ではすべての食事が提供されたが、実生活では自分で用意せねばならない。自宅で実行しやすいメニューを検討中だという。