運動が癌(がん)化学療法の副作用を緩和
癌(がん)の化学療法や放射線療法には、体重の増減、吐き気や嘔吐などの副作用が伴うが、患者が経験するこうした副作用が、運動により緩和されることが、米ミズーリ-コロンビア大学(ミズーリ州)の研究で明らかにされた。研究者らは、運動が治療中の癌患者や治療を終えたばかりの癌患者の身体機能の改善に役立つとしている。
同大シンクレア看護学部研究副学部長のVicki Conn氏は「階段を上ったり、一定の距離を歩けるなどの身体機能の改善は、仕事や子供をもつ患者に大きな影響を与えるため、重要な成果となる。また、運動は、回復期間を短縮させ、癌治療の副作用に煩わされる患者の気分をよくさせる」と述べる。
米医学誌「Supportive Care in Cancer」7月号に掲載された同研究では、運動が癌患者の身体組成(体脂肪の割合)にもプラスの効果をもたらし、疼痛、吐き気、嘔吐などの症状を緩和させることが明らかになった。また、運動後、癌患者の生活の質(QOL)、気分、および疲労度に適度な改善が認められた。
Conn氏は「癌治療に伴う運動処方を行う場合には、医師に相談する必要がある。50歳以上の患者の多くは、高血圧症や糖尿病など、別の慢性疾患を抱えており、そのことを十分に考慮しなければならない」と述べている。