ペットフードで飼い主が感染症に
細菌(バクテリア)を含んだ牛肉や魚類のペットフードにより、サルモネラ菌感染症に発展するリスクを蒙った飼い主の症例が、米疾病対策予防センター(CDC)発行の「Morbidity and Mortality Weekly Report」に報告された。
同報告では、2004年と2005年にペットフードに触れた後、サルモネラトンプソンという特定の感染症に罹患した飼い主9人の事例を紹介している。全ての患者が下痢を発症し、1人は嘔吐も起こした。81歳の女性患者は入院を必要とした。
報告で指摘されたのペットフード製造業者は、食肉処理業者から冷凍牛肉や冷凍サーモンを仕入れていた。ペットフードは製造業者の工場で乾燥されるが、細菌を殺菌するほどの高温乾燥ではなく、照射殺菌などの工程も行われていなかった。研究共著者で、CDC疫学者のFred Angulo氏は「汚染しないように製造できるはずで、照射殺菌や高熱殺菌も容易なこと」と述べている。
CDCは、感染を防ぐために、動物由来のペットフードに触れた後には石鹸と水で十分な手洗いをするように推奨。また、5歳未満の小児や高齢者、免疫系に障害のある人は、こうした製品には触れないように助言している。加えて、製造業者に対し、サルモネラ菌やその他の細菌を加工過程で破壊するために熱処理や照射滅菌するよう指導している。
米ペット製品製造者協会(APPMA)のEd rod氏は「協会は米食品医薬品局(FDA)と共同で、ペットフードの加工製造、取り扱いに関する自主的なガイドラインを作成したが、これら製造業者はそのガイドラインに従わなかっただけであり、新しい規制は必要ない」とコメントしている。
しかし、Angulo氏は「業界には発生を防ぐ義務があり、自主的な措置だけでは不十分。感染を完全に防ぐ唯一の方法は、義務を製造業者に負わせる規定を構築することで、FDAはそれができるはずである」と述べている。