果糖がインスリン反応を阻害し、肥満を促進
医学誌「Nature Clinical Practice Nephrology」12月号、および「American Jounal of Physilology-Renal Physiology」オンライン版に掲載された報告で、加工食品に含まれる果糖やハチミツ、コーンシロップには、空腹感を実際より強く感じさせる作用があることが明らかされた。
米フロリダ大学の研究グループは、高果糖の食餌を10週間ラットに与えた。その結果、果糖は、体重を増加させ、2型糖尿病の前兆であるメタボリックシンドローム(代謝症候群)を引き起こす生化学的連鎖反応の一環として特定された。
同研究では、果糖が血液中の尿酸レベルを上昇させることも明らかにされている。一時的な尿酸値の上昇が、糖分の体細胞への貯蔵や使用をコントロールするインスリンの反応を阻害する。そして、尿酸レベルの上昇がある程度の頻度で発生すると、時間とともに肥満、血中コレステロール値の上昇、高血圧など、メタボリックシンドロームの特徴が表れるのだ。
同大学医学部の腎臓学教授で腎臓学・高血圧症・移植術主任のRichard Johnson博士は「尿酸を阻害したり減少させたりすると、メタボリックシンドロームの特性が大きく抑制されたり、後退したりした。体重増加を有意に減少させ、血中のトリグリセリドの上昇を有意に低下させることも可能だった。また、(ラットの)インスリン抵抗性は減少し、血圧も低下した」と述べている。
研究グループは、今回の研究が、なぜ甘味食品が米国を始めとする各国で肥満率を上昇させているのかの説明となるだろうとしている。