低脂肪乳製品が高血圧を予防
乳製品の摂取が血圧降下に役立つことが新しい研究で示唆され、医学誌「Hypertension」8月号に掲載された。研究を行った米ハーバード大学ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(BWH、ボストン)のLuc Djousse博士によると、同じ乳製品でも飽和脂肪の多い無調整のものよりも、低脂肪のものがよいという。
この研究では、米国心肺血液研究所(NHLBI)の資金提供によるFamily Heart Study試験に参加した4,797例を、チーズ、ヨーグルト、牛乳などの乳製品の摂取量(1日3食分以上〜1/2食以下)によって4グループに分け、血圧との関係を調べた。
乳製品の摂取が最も多い群は、最も少ない群に比べ、収縮期血圧が平均2.6mmHg低かった。しかし、飽和脂肪摂取量でみると、血圧に対する効果は飽和脂肪摂取量の少ないグループのみで認められた。のこのグループでは、乳製品摂取の最も多い群は最も少ない群に比べ収縮期血圧が3.5mmHg低く、また高血圧になる比率(オッズ比)は54%低かったという。この研究では、低脂肪乳製品を摂取した者を特定することはできなかったが、総脂肪、多価(高分子)不飽和脂肪、飽和脂肪に関するデータは得られている。
米国では3人に1人が、脳卒中や心臓発作などの危険因子(リスクファクター)となる高血圧といわれている。高血圧には薬物治療のほか、生活習慣の改善も有効で、低塩、低コレステロール、果物、野菜を中心とするDASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension、ダッシュ)ダイエットにより有意な血圧降下が認められている。
しかし、DASHダイエットの効果の理由ははっきりしていない。複数の因子の組み合わせによるものだと考えられるが、Djousse氏はDASHダイエットにカリウムやマグネシウムが豊富に含まれる点も指摘している。いずれにせよ、「飽和脂肪に気をつけてさえいれば、乳製品の摂取は(高血圧予防に)よい」という。