磁気刺激が片頭痛を緩和
うつ病や痙攣(けいれん)に有効とされている経頭蓋磁気刺激(TMS)装置に、片頭痛にも効果のあることが、ロサンゼルスで開催された米国頭痛学会(AHS)年次集会で発表された。
米国では約2,800万人が片頭痛をもち、約20%には痛みが出る前に視界の変化などの前兆がみられる。片頭痛の原因は、神経細胞の過度の興奮とそれに続く神経細胞の疲労および機能不全であると考えられており、これが頭痛の前兆と相関しているとされる。磁気刺激によってこのプロセスが脳全体に広がるのを防ぐことができれば、頭痛を回避できると考えられる。
米オハイオ州立大学メディカルセンター神経学助教授Yousef Mohammad博士らは、TMSを製造する米NeuraLieve社(カリフォルニア州)の資金援助により、今回の研究を行った。前兆を伴う片頭痛をもつ43人を対象とし、TMSまたはプラセボ装置のいずれかによる処置をランダム(無作為)に割り付けた。TMS装置は、金属コイルを通して電流を送り、磁場を作って脳の神経細胞を活性化させる。被験者は、最初の前兆がみられたときに自分で後頭部に2発のパルス刺激を与えるよう指導を受けた。
装置使用2時間後、全く頭痛がないか軽い頭痛のみであったとした患者は、TMS群での74%に対して、対照群では45%であった。また、TMS群では75%に光過敏の軽減、74%に音過敏の軽減がみられたが、プラセボ群で光・音過敏の軽減がみられたのは約20%であった。今後、さらに大規模な研究を行う予定だという。
これとは別に、同学会では、慢性連日性頭痛(月15日以上の頭痛)が抗痙攣薬topiramate(商品名:Topamax)によって緩和されるという報告もなされた(編集部注=日本国内未承認薬は英文表記)。約300人の患者にtopiramateまたはプラセボ(偽薬)のいずれかを16週間投与したところ、topiramate群で頭痛の頻度が有意に減少したほか、頭痛の程度にも軽減がみられた。ただし、topiramate群では手足のしびれや刺痛などの副作用も認められたという。